コラム
COLUMN
2024年11月14日 [COLUMN, 税金ネタ]
預かりに見えて預かりでないもの
ネットなどでは、消費税廃止が景気回復には効果的といった記載をよく目にします。
軽減税率、非課税取引、インボイス、簡易課税の選択、課税売上割合、個別対応、一括比例、対価の返還、輸出免税、課税貨物引き取り、特定収入。。。。
税理士が消費税の実務上気にするワードはこんな感じでしょうか?
「消費税率」「消費者が消費税を負担する」
世間一般で浸透しているのは上記の2つのワードくらいではないでしょうか?
⭐︎消費税の納税義務者は事業者です
⭐︎相手から預かっていようが、預かっていなかろうが、納税義務者は計算方法に従って計算した消費税の納税義務があります。
あれ?消費税って消費者が負担するんだよね?でも納税義務はないの?
そう思われた方。。。センスが良いです!
そうですね。事業者は商品やサービスを販売した際には、消費税を納めなくてはいけなくなるので、商品やサービスに消費税を乗っけて価格を決めるわけです。
消費税貰わなくても良いんですよ?
逆に免税事業者が消費税を価格に乗っけても良いんですよ?
でも納税義務がある場合には納めてもらいますからね。預かってない?それなら身銭を切って納めてください。あなたに納税義務があるんですから。
こんな感じでできあがっている消費税です。
なんか分かりにくいですよね?
給料の源泉徴収義務や社会保険料、住民税の特別徴収などに似てる側面もあります。
うちは従業員に給料払う時に税金預かっていないから、納めなくて良いよね?
いえいえ、徴収義務者ですから預かっているかいないかではなく、計算に従った税金はあなたが納めてください。
給料からの天引き?それはそちらでやってください。ま、納めなくてはいけないわけですから、天引きしとかないと損しますよ。
という構造です。
社会保険料なんかは確か、「本人負担分は本人から徴収することができる」といった「できる」構成だったような気がします。「できる」ということは、しなくても良いわけですよね。でも会社は本人負担+会社負担の全額を納めてくださいね。
っていう作りですね。
結局、預り金って預り金じゃないのですよね。
消費税は預かり金的性格ではあるが、預り金ではない、付加価値税のようなものという見解があります。
難しいことはわかりませんが、インボイス導入時に「ん?やっぱり日本の消費税って付加価値税?」と思ったわけです。
インボイス導入により仕入れ税額控除の相互チェックが可能となり、結果、脱税を防止する機能が生まれます。
免税事業者との取引にインボイスの有無で仕入税額控除控除の可否が決まれば、消費税の益税問題が解消されます。
う〜ん。。。言わんとしていることは分かるのですが、事業者。。。どんどん処理やチェックの負担が増してない?
そもそもインボイス導入時に「インボイスの有無で仕入税額控除が変わります」という趣旨の説明をクライアントさんにしていますが、8割方「そ、それってどうゆうこと?」という反応でした。
仕入税額控除というワードは事業者が納税すべき消費税を計算する上で最も重要なワードのひとつです。
これ次第で納税額は大きく変わります。
にもかかわらず、あまりにもこのワードが事業者さんに浸透してなさ過ぎです。
消費税廃止。。。。
してくれたら、景気回復、消費意欲喚起へ繋がるのでしょうね。
廃止直前の買い控えは生半可ではないでしょうが、、、
我々の業界も、世間一般では単純に見えても実はめちゃくちゃ複雑な消費税実務から解放されると心が軽くなります。
消費税申告報酬の減収は避けられませんが(笑)
消費税廃止後に買い控えをしている人を見かけたら、それは税理士かも知れません。。